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特別展「江戸☆大奥」東京国立博物館でよみがえる、華麗なる女たちの世界

「こういう世界があったのか」――と、思わず息を飲んでしまう濃厚な美と力の交錯を体感できるのが、 7月19日から東京国立博物館で行われる特別展「江戸☆大奥」。この展覧会では、華やかに描かれてきた“お伽話”ではなく、本当にその奥にあった女たちの現実、そしてその裏にひそむ制度・権力・生活を丁寧に、そして鮮やかに浮かびあげています。この記事ではその魅力を少しだけご紹介しましょう。

特別展『江戸☆大奥』
【会場】東京国立博物館(東京都台東区上野公園13-9)
【会期】2025年7月19日(土)〜9月21日(日)
【時間】9:30〜17:00
【休館日】月曜、7月22日(火)
※毎週金・土曜日、7月20日(日)、8月10日(日)、9月14日(日)は午後8時まで開館
※入館は閉館の30分前まで
【チケット】[前売券]一般1,900円、大学生1,100円、高校生700円[当日券]一般2,100円、大学生1,300円、高校生900円
HP:https://ooku2025.jp/

特別展「江戸☆大奥」では、これまで語られることの少なかった“大奥の実像”を、華麗な衣装や貴重な資料を通して紐解きます。まず注目したいのは、「豪華絢爛!大奥で演じられた歌舞伎の衣装」。坂東三津五郎に弟子入りした女性歌舞伎役者・坂東三津江が大奥に出入りしていたことからも分かるように、当時の女性たちが舞台でまとう衣装は、芸能と権威が交わる象徴的な存在でした。大奥で実際に演じられた歌舞伎衣装を一挙に公開するのは、今回が初の試みとのこと。

続く見どころは、繊細な刺繍模様が施された武家きものの数々。ドラマや映画で描かれる華やかさとは異なり、実際の武家女性たちの装いを通して、日々の暮らしや四季のしきたりを感じ取ることができます。草花や風景をモチーフにした搔取や小袖は、まさに“生きる美”の記録といえるでしょう。さらに、五代将軍徳川綱吉が側室・瑞春院(お伝の方)に贈ったと伝わる「重要文化財 奈良・興福院の刺繍掛袱紗」全31枚も必見です。元禄期最高峰の刺繍技術によって作られた逸品が並び、将軍の愛情と時代の美意識が織り込まれています(※会期中、展示替えあり)。

また、明治期の浮世絵師・楊洲周延による『千代田の大奥』全40場面を通期で鑑賞できるのも貴重な機会。庶民があこがれた江戸城大奥の情景が、錦絵の中に鮮やかに描かれています。さらに、歴代の御台所や側室、月光院付きの御年寄として知られる絵島、十三代将軍家定に仕えた瀧山など、大奥を彩った女性たちを、ゆかりの品々とともに紹介します(前期:7月19日〜8月17日/後期:8月19日〜9月21日、通期展示もあり)。

展示構成は4章仕立てで、大奥という世界の成立から文化までを丁寧にたどります。

第1章「あこがれの大奥」では、長い御鈴廊下のセットや、家斉時代をモデルにした『偐紫田舎源氏』、そして『千代田の大奥』を通じて、庶民が夢見た“大奥像”を紹介。第2章「大奥の誕生と構造」では、三代将軍徳川家光の時代に確立された序列や、春日局・天樹院(千姫)といった女性たちの存在を通じて、大奥という制度の礎を探ります。

第3章「ゆかりの品は語る」では、世継ぎを巡る対立や、閉ざされた環境で懸命に生きた女性たちの姿に焦点を当て、彼女たちの強さと苦悩を伝えます。そして第4章「大奥のくらし」では、華麗な婚礼調度や四季の衣装、遊び道具、女性歌舞伎役者の衣装などから、大奥の日常の息づかいを感じられる構成となっています。華やかさの奥にある“生きた証”が、静かに、しかし確かに語りかけてくる展覧会です。

豪華絢爛でありながら、静謐な美しさをたたえる「大奥」の世界。そこに生きた女性たちの装いや芸、誇りと葛藤が、時を超えて今、私たちの前に鮮やかに蘇ります。歴史と美が織りなす特別展「江戸☆大奥」、ぜひその目で、江戸の深奥に息づく“真の華”をご覧ください。

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